当社のグローバル展開は、「ODAに関係する事業」「国際学会における研究発表」「タイ、アルバニアにおける実験、技術供与などの事業」「洋上風力発電における試験・調査事業」の大きく5つに分けられます。
この「調査実績20プロジェクト」は、ODAに関係する事業です。
動的載荷試験は、日本が世界に先駆けて基準化した試験方法です。その後、アメリカにおける基準「ASTM」に「Rapid Load Test」が採用、基準化されました。また、ヨ-ロッパでも「INTERNATIONAL STANDARD ISO 22477-10:2016{E}」で急速載荷試験が基準化されています。そもそも「ASTM」と「ISO」はいずれも、日本の地盤工学会基準を参考に制定されたものです。
地盤試験所が所有する「ハイブリッドナミック試験」は、世界の載荷試験市場において広く認知されている急速載荷試験方法の1つとなっています。このハイブリッドナミック試験装置は、国内はもちろん海外においても当社が商標登録を取得しており、試験装置の随所に複数の特許技術が組み込まれた独自ブランドです。海外基準である「ASTM」や「ISO」の要求性能も十分に満たしており、直近の約6年間で、主に日本のODAによるアジア、東南アジア、アフリカ地域でのインフラ整備事業に関わり、杭の載荷試験業務を担うプロフェッショナルとして実績を積んできました。今後もこうした国際的な技術競争力を維持・向上していかなければなりません。
海外における杭の載荷試験市場は、静的載荷試験と衝撃載荷試験が全体を占めています。上記の国々で今まで主流だった静的載荷試験は、杭の上に岩やコンクリートブロックを積み上げ、それを反力として実載荷する方法です。この方法は大量の岩やコンクリ-トブロックを運搬し、積み上げる必要があるため安定性が悪く、特に地盤が緩い場合は、傾いて崩れ落ちるなどの災害につながる危険が伴います。加えて、試験工程が長いなど、精度面では問題ないものの、欠点の多い方法です。
一方、衝撃載荷試験は工期が短くてコストも低いのが特徴ですが、高度な解析技術が必要であり、精度面でも他の方法と比較して劣ります。そのため、近年、業界では両者の欠点を克服した急速載荷試験に注目が集まっているのです。
現在、世界市場で認知されている急速載荷試験は、当社の「ハイブリッドナミック試験」、Allnamics社(オランダ)の「スタットラピッド試験」、ほか複数社の「スタナミック試験」です。私たちは、海外での学会発表や学術誌への投稿、海外企業との共同研究などを通じて、「ハイブリッドナミック試験」というブランドの品質と知名度を向上させるべく、精力的に活動しています。急速載荷試験自体が従来法に比べ、まだ実例が少ないですが、アジア、東南アジア、アフリカ地域で今後、さらに普及していくことでしょう。
アルバニアにて基調講演及び論文を2編発表。
日本大使館に訪問し、駐アルバニア高田大使に面会しました。